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大塚豊氏×高畑好秀

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アピールしようと力むな

- 北海道日本ハムファイターズとの契約が済んで、プロ入りの実感は沸いてきましたか?

大塚: 指名されたときよりは沸いてきたのですが、ユニフォームを着て練習を初めたら、もっと沸いてくると思います。

- 背番号は、「14」に決まりました。

大塚: 予想以上にいい番号をいただきました。うれしかったんですが、逆にしっかり結果残していかないと、と思います。

- リーグ戦では、23連勝されています。この間、負けられないプレッシャーはありましたか?

大塚: 毎年全国大会に出ているチームなので、そういう意味では負けられない気持ちはあったのですが、個人に対する連勝記録とか勝利数記録を意識することはなかったです。自分はリーグ戦よりも全国大会に照準を合わせてやっていたので、リーグ戦で1勝しても内容に納得がいかなかったら、「この調子なら全国大会ではやられていたな」と反省する部分が多かった。リーグ戦の1勝について「勝った、負けた」というのはあまりなかったですね。

高畑: 勝ち星からすると、「プロで通用する」って感じですが、スカウトの方にどこを評価されて、プロに入れたと思う?

大塚: 自分は150キロのボールを投げるピッチャーではありません。それでも勝つにはどうすればいいかということをいろいろ考えると、変化球のコントロールとキレで勝負していかないとダメだな、と思っています。それと、150キロのストレートの代わりに気持ちの面、バッターに対する強気の部分ですね。そのあたりが4年間で成長できて、最後の春の大学選手権でしっかり出せたと思います。

高畑: 技術的には、どこが一番プロで通用すると思う?

大塚: やっぱりコントロールと、フォークボールですね。フォークボールは何球でもストライクゾーンへ出し入れできる自信があります。

高畑: プロのスカウトが何をもって選んでいるのか、大塚君の中ではそれが明確な感じがするのかな?

大塚: スカウトの方からは、リーグ戦では調子のいい時が少なくても、全国大会だと自分の思いどおり投げられるというか、大舞台で結果を残しているところを評価していただいた、と聞きました。

高畑: リーグ戦でいい時が少なかったのは、どうして?

大塚: 今年の春は、個人的にプロへ行くためにしっかりアピールしていかないといけない時期でもあったので、意識しないようにとは思っても、意識せざるを得ませんでした。調子自体も良くなくて、変に力んだりしました。プロへ行きたいと言う気持ちが強すぎて、絡み合ってなかったですね。でも全国大会で東北福祉大や東洋大といった強いチームを相手にすると、そういう個人の結果を意識する余裕もなくて、必死に投げないと打たれるので……。

高畑: 意識をせずにすんだ?

大塚: 試合に集中できたっていうのはあります。

高畑: アピールしようとすると、たぶん失敗するよね。プロに行って一番気を付けないといけないのが、2軍から1軍にポンと上がったときだよ。いいところを見せようとあせって、大抵すぐ打たれちゃう。打たれてまた2軍に落ちて、そこから悪循環が始まることが多い。自分のやれることを、東北福祉大と対戦するときぐらいの気持ちでやれればいいんじゃないかな。

プロで活躍する選手は、意識が高い

- 高畑さんは今までにプロ野球選手を300人近く見ておられます。その中で、2軍で終わる選手と、1軍に上がる選手と、もっといえば1軍で活躍する選手を分ける、共通点のようなものはありますか?

高畑: 意識の高さだと思うんですよ。じゃあ意識って何か? 例えば、大塚君は今、右肘を痛めているそうですが、肘を痛めた原因って何?

大塚: この秋に股関節を痛めて、ずっとかばいながら投げていました。10月末の関東大会の前に治療して痛みがなくなり、その分思い切り腕が振れたのですが、それで腕を振りすぎて肘を痛めたんだと思います。

高畑: そうやってちゃんと自分で原因がわかっていればいいんだけど、プロの選手でも、それがわからない選手がいっぱいいるんだよ。なぜ痛めたのかもわからないまま、痛みを取ることしか考えない人が。だけど痛みを取ったとしても、結局フォームが原因であれば、また痛めるよね。痛みが出るということは何かがおかしいわけだから、その原因をちゃんとつきとめる。こういう理由で痛みが出るっていうのがわかれば、痛みが出る過程で修正することができる。それができないで痛みをとることだけを考えてしまうような選手は、なかなか難しいよね。

大塚: 4年間で、大きい怪我というか投げられなくなるような怪我がなくて、この最後の最後で怪我をしてしまいました。最後の大会(11月の明治神宮大会)で1イニングしか投げられなくて、その時は悔しかったですが、今思うとプロへ行く前にこういう経験ができたのはすごく大きいですね。今まで怪我をしなかったので、大丈夫だろうという気持ちが強かったんですが、怪我をしてからは今まで以上に体のケアに意識が持てるようになりました。

高畑: あとね、「調子悪くなったら走り込め」とかいうじゃない? 走り込んでどうなると思う?

大塚: 走りこみも大事ですが、それをピッチングにつなげないと意味がないと思います。

高畑: どうつなげる?

大塚: 下半身が強くなると、重心を低くして投げられます。ランニングっていっても長い距離を走るだけでなく、短距離とかいろいろやって、しっかりウエイトもやっています。

高畑: 大塚君は頭がいいんだね、それ、正解だよ。単純に走り込む選手がいっぱいいるんだよ。例えばマラソン選手はすごい量を走っているけど、下半身が強いかっていうと、そうじゃない。

大塚: やっぱり投げるのが一番ですね。いくら走れても、投げられないと意味がない。

自分の中に、コーチをつくれ

高畑: 自分のピッチングについて、ひとつひとつ動きを解説しながら投げられる?

大塚: 振りかぶるときは、背筋を伸ばす。おなかをひっこませて、軸で立つ。軸足の股関節に体重を全て乗せて、意識の中では、「イチ、ニ~ッの、サン」で投げるようにしています。左肩は、軸足方向に入れすぎず、下がりすぎず、上がりすぎず、真っ直ぐの状態で、着地してからは、力を逃がさないように前に体重を乗せかえます。

高畑: もう少し細かく言える? 体っていっぱいいろんな部分があるよね? 例えば立っているときの重心の位置は、つま先の方にあるのか、踵の方にあるのか、とか。例えば、大塚君がピッチングコーチになったとしようよ。ピッチングコーチ大塚が、大塚投手に「ピッチングとはこうするんだよ」っていうことを教えるつもりで。

大塚: 左足を上げたとき、軸足の踵は地面につけたままにします。上げてしまうとその分体が早く前に行ってしまう。真っ直ぐ立って、体重は軸足の母趾球に乗せます。左足をおろすときにも踵を離さず、下半身から始動します。テークバックは、意識せず、自然に、ですね。投げる瞬間、リリースの瞬間にはリリースポイントを見る。リリースのときの腕の振りが早ければ早いほどボールにスピンがかかります。

高畑: こうやって、自分の体の動きを言葉であらわすのは、大事だよ。「バーっ」とか、「ビュー」じゃ、困るわけ(笑)。常に自分の中にピッチングコーチを作ることが大切だね。調子が悪くなったら、自分の中のピッチングコーチに正しいフォームを相談するといいよ。コーチのいうことを全部まともに聞いてしまって、イップスになる選手が結構いるから。

大塚: 自分という軸を持ってコーチのアドバイスを聞いて、いいことは取り入れて、あわないものは受け入れないようにすることを心がけています。自分の軸をなくすると、戻そうと思ったときに戻るところがなくなりますから。

高畑: そういう意識が大切。プロに入る人は、もともとの力には大差がないからね。

 

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大塚豊氏

大塚 豊 (おおつか ゆたか)
東京都出身。1987年12月20日生まれ。この秋のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから2位指名を受けた、フォークボールが武器の技巧派右腕投手。ストレートの球速はMax144キロ。大学4年間で23連勝を含む41勝を挙げ、東京新大学リーグの最多勝利記録と連勝記録を更新した。2009年春の大学選手権では3連続完投勝利を含む4連投でチームをベスト4に導いた。某雑誌の企画で高畑の開発したMQテストを受け、高得点をマークした、強いメンタリティの持ち主。

 

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【第11回】 大塚 豊氏